クルーズ旅行といえば「豪華」「優雅」「リラックス」といったイメージがつきまといます。しかし、実際には旅の途中で思いがけないトラブルや辛いことに直面することもあるものです。私は過去に乗船したクルーズで、最初は気分良く旅を楽しんでいたのですが、ある晩にひどい船酔いに襲われてしまいました。
そのクルーズは比較的波の穏やかな海域を周遊するはずだったのですが、たまたま低気圧の接近と重なり、夜から翌朝にかけて揺れが激しくなったのです。夕食後にショーを見に行こうと思っていたのですが、段々と体調が悪化してきて、結局キャビンに戻ることに。飲み慣れていない酔い止め薬を服用したら余計に眠気や怠さを感じてしまい、夜中は満足に眠れませんでした。船内には医務室もあるのですが、大げさに騒ぐほどではないと思いつつ、ひと晩中「もう陸に戻りたい…」という弱気な考えが頭をよぎったのを覚えています。
さらに、船酔いに加えて追い打ちをかけるように、私にはちょっとした人間関係のトラブルもありました。仲良くなったグループの中で、ちょっとした意見の食い違いから気まずい雰囲気が生まれ、最終的に乗船後半はそのグループに入りづらくなってしまったのです。狭い船内ゆえに逃げ場もなく、どこに行っても顔を合わせる可能性があります。大人同士とはいえ、気心の知れた仲でもないぶん、些細な誤解が解けないままこじれてしまうと息苦しさが増してしまうのもクルーズの特殊な環境ならではでしょう。
とはいえ、そんな辛いことがあったからこそ、いろいろ学ぶこともありました。船酔い対策は事前にしっかり準備することや、万が一体調不良になったときのために医務室の場所や船内のサポート体制を把握しておく重要性を痛感しました。また、人間関係のトラブルが起こったとき、閉ざされた環境では早めに自分から誤解を解こうと努力する姿勢が大事だと分かったのです。私は結果的に、旅の終盤で当事者同士でじっくり話す機会をつくり、何とか笑顔で別れられるようになりました。
クルーズといえば楽しいエピソードばかりが語られがちですが、実際にはこうした辛い部分も含めて「旅のリアルな経験」なのだと思います。揺れに悩まされることもあれば、人との関係に苦しむこともある。それでも一度下船すれば、「あれもいい思い出だった」と感じられるのが不思議なところです。海を隔てた船上という特殊な環境だからこそ、気づくことや学ぶこと、そして強くなる部分がある。今では、あの少し辛かったクルーズ旅行も、私の旅の思い出の中でかけがえのない経験として心に残っています。
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